栃木労働問題研究会

労働者諸君、ブラック企業に負けるな!

入社前の話と違う!~労働条件の明示義務~

こんにちは、ティッシュです。

ここ数日、とっくに梅雨も明けたはずなのに、台風の影響なのかジメジメしてて嫌な天気です。

 

さて、今日のテーマは「労働条件の明示義務」です。

ちまたでよく聞く話の一つとして「入社前の労働条件と今の労働条件が異なる」というものがあります。

具体的には

「求人票に書いてあって給料と違う!」

「残業時間が言われてたより多い!」

「年間休日より少ない!」等々

 

ここで知っておきたいのが、使用者は労働条件を書面にて通知しなければならないということです。(労働基準法第15条)

民法上の契約は、原則口約束のみでも有効に成立しますが、労働契約については民法よりも労働基準法が優先します。

使用者の中には、それを理由に労働条件の明示をしなくてもよいと思っている人が少なくありません。

労働基準法15条では、のちのちになってから、言った、言わないの問題が発生することを未然に防止するため、書面による明示義務を課しているということです。

では、使用者側は具体的に何を明示する必要があるのでしょうか、以下に列挙しましょう。

 

1~5は書面にて明示しなければならない事項です。

1、労働契約の期間
2、就業の場所、従事する業務の内容
3、始業時間・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日に関する事項
4、賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
5、退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

 6~14は口頭による説明のみでも差し支えない事項です。

6、昇給に関する事項

7、退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
8、臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
9、労働者に負担される食費、作業用品その他に関する項
10、安全・衛生に関する事項 
11、職業訓練に関する事項 
12、災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
13、表彰、制裁に関する事項 
14、休職に関する事項


明示された労働条件と事実が相違している場合には、労働者は即時に労働契約を解除することができます。

また、労働契約の解除の日から14日以内に労働者が帰郷する場合には、使用者はその旅費を負担しなければなりません。

 

現在、会社勤めをしている方は、今一度、労働条件通知書の交付を受けているか確認しましょう。今後何か労働問題が起きた際に、その労働条件通知書が決定的な証拠になり、解決の糸口となることでしょう。

労働条件の通知は、正社員だけでなく、パートタイム労働者に対してもしなければなりません。学生のアルバイトだろうと何だろうと、人を雇うならば、所定の手順を踏まえなければならないということです。

特に、最近では学生諸君の労働諸法令の不知をいいことに、ブラックバイトと呼ばれるものが横行しているようですね。

ちなみに、定められた方法で労働条件の明示を行わない使用者に対して、30万円以下の罰金という罰則規定も設けられています。

このブログを読んだ、社長の中に、労働条件の通知を行っていない方がいましたら、速やかに労働条件通知書を作成し、交付してください。

何もしないで、ほったらかしよりは幾分マシですからね。

 

労働条件通知書のひな形をはっておきます。気になる方は確認してみましょう。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h241026-2-betten.pdf