非正規労働者の労働環境は今後も改善されることはない
安倍首相が盛んに推し進める、日本人の働き方改革。
過労死、ブラック企業などという不名誉なワードが、もはや国単位で言われるようになったのでしょうか。首相としては是正措置を取らざるを得ないのかもしれませんね。
まず、安倍首相が排除しようとしているのが「非正規労働者」というもの。
非正規労働者、すなわちパート、アルバイト、契約社員等の労働環境は、正規労働者のそれと比べて劣悪である傾向にありますね。
また、最近になって「同一労働同一賃金の原則」という言葉をよく耳にするようになりました。
これは、同じ労働をしているならば、同じ賃金を支払われてしかるべきであるという考え方です。
たしかに「私は正社員と同じ仕事をしているのに、非正規だからって給料が安い!」なんていう話はどの会社からも聞こえてきます。
では今後、安倍首相の思惑通りに非正規社員というものはなくなるのでしょうか。
ここからは、私の個人的な予想ですが答えは「なくならない」
根拠1、正規労働者のほうが採用要件が厳しいため
例えば求人票一つ見ても、正規労働者は大卒程度で面接も数回行う、非正規労働者は高卒程度で面接は一回となっていたりします。
当然のことながら、狭き門を潜り抜けてきた者は、それにふさわしい地位と待遇を得るべきです。
根拠2、正規労働者のほうが大きな権限と裁量を与えられているため
平常時のルーチンワークを見てみると、正規労働者も非正規労働者も同じような仕事をしているように見えます。ところが、いざ異常事態に陥ったときはどうでしょうか。
会社の経営を左右するような、重要な意思決定をしなければならないのは正規労働者です。
根拠3、非正規労働者は賃金を抑えて雇用できるため
正規労働者には、当然のことながら高い賃金を支払わなければなりません。
会社にとっては人件費というのは大きな負担であるため、単純作業であれば非正規労働者に安くやってもらうというほうが良いと考えるわけです。
つまり、使用者側には安く労働者を雇うことができるというメリットがあるため、今後も非正規労働者の求人は増え続けることが見込まれます。
ちなみに、なぜ欧米では非正規問題が起きないのか。
日本と欧米では社会福祉制度が違うためです。
欧米では社会福祉政策の一環として、医療費や学費の無償化が行われています。
つまり、国民全体で社会福祉にかかる費用を分配しようという考えなわけです。
一方日本は、一家の主の収入の大小によって、その家族に掛かる福祉の質の大小が決まる仕組みです。したがって医療費や学費等の無償化は行われません。
よく聞く話に「子の学歴と親の収入には相関関係がある」という説、これは日本の社会福祉制度が招いた結果ということです。
私が思うに、民主主義的な自己責任制度が樹立してしまっている我が国では、非正規労働者の救済という、ある種の福祉の分配に関しては、冷ややかな対応が続くのではないでしょうか。
今後、あくまでもこの仕組みのままであれば「給料がほしければ正規労働者になればいいじゃない」という状況は変化しないと考えられます。
本稿は、あくまでも私の独断と偏見によるものです。
安倍首相の政策は応援したいところですが、課題は山積みだと思います。
まず我が国では義務教育を終えたら、それ以降は自己責任。
「なぜ、いい大学に入らなかったのか?」
「なぜ、資格の勉強をしなかったのか?」
「なぜ、正社員になる努力をしなかったのか?」
という疑問を突き付けられたとき、非正規労働者は果たして自身の待遇について不満を言える立場なのでしょうか。