栃木労働問題研究会

労働者諸君、ブラック企業に負けるな!

名ばかり管理監督者に残業代は不要なのか?

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おはようございます、ティッシュです。

本日のテーマは、名ばかり管理監督者の残業代についてです。

原則、労働基準法における労働時間に関する制約(時間外労働、休日出勤、休憩等)は管理監督者には適用されません。(深夜業は例外的に適用されるので、何時間行ったかは把握しなければなりませんが)

 

「よっしゃ!管理職には残業代払わなくてOKなのか!」

と思った使用者の皆さん、確かに管理職には残業代は払わなくとも差し支えありません!

 

では、管理職、管理監督者とはどのような人を指すのでしょうか?

取締役?専務?課長?支店長?人事権のある総務部長は?人事権のない営業部長は?

挙げるときりがありませんが、会社によって管理職の定義は極めてあいまいなのではないでしょうか。

 

労働基準法上で管理監督者とみなされるためには、肩書でなく実態で判断します。

 

まず、経営者と一体の立場であるかどうか。

経営者と一体の立場にあり、人事権や業務執行権等の直接経営にかかわるような重要なポジションにつく人を指します。

よって、課単位の長程度では、管理監督者としてはみなされません。

 

次に、その地位にふさわしい待遇を受けるものかどうか。

その地位にふさわしい待遇とは、具体的には年収700万から800万程度を指すことが一般的です。

肩書上は「取締役」や「理事」であっても、実態は他の労働者同様の賃金体系と業務内容であれば、管理監督者としてはみなされません。

 

筆者が見聞きしたニュースでは、某ファミレスやファーストフード店の店長が管理監督者とみなされ、残業代が不当に支払われなかったため、会社に対して支払い命令が下ったというもの。

店舗の店長とはいえ、直接企業経営に関わっているとは言えませんし、ふさわしい待遇を受けているわけではないと思われます。(大変失礼ですが。。。)

筆者の経験則

余談ですが、筆者が以前勤めていた先では、40歳を過ぎればどんな無能社員だろうと課長職が与えられていました。これにより管理監督者とされ、雑用係であっても残業代を払わないという方法が横行していたのです。(トンデモナイところでした。。。)

もちろん、肩書が課長であっても仕事内容が雑用係では管理監督者ではありませんよね。

 

実務上の適用について

実務上、中小企業において管理監督者の存在は極めて稀です。

なぜならば、中小企業ならば社長の目が全従業員に行き届くためです。

各地に事業所を展開してでもいない限りは、管理監督者と認められることは少ないようです。

 

最後に

使用者には労働者の労働時間適正把握義務があります。

これは、「何月何日は、何時に出勤して何時に退勤したかどうか」を把握すべしという内容です。最も有効な措置は、やはりタイムカードではないでしょうか。

そして、労働基準法の記録の保存義務に基づき、少なくとも3年は保存しなければなりません。厳しいですね。

筆者も労働相談の窓口担当者ですが、その者の退職と同時にタイムカードを廃棄してしまう会社や、単に役職のみでそもそも記録を取らない会社が目立ちます。

やはり相談者側は年配の社長様が多いものですから、法律がどうのこうの言って怒鳴り散らされたこともあります。(20代の若造に指摘されて腹が立つのはわかりますが。。。)

 

労働法に限らず、税法でも商法でも何でもですが「知らなかったら許される」ということはありません。悪質とみなされれば懲役刑や罰金刑を課されることもありますからね。

いやー、人を雇うのって難しいですね。。。

 

~本稿のまとめ~

管理監督者は労働時間の適用がない(深夜業は例外)

管理監督者は、肩書でなく実態で判断する

・現実的に、中小企業には管理監督者がいることは稀