実物給与は違法なの? ~賃金通貨払いの原則~
こんばんわ、ティッシュです。
ここ数日肌寒いのに、帰宅したらクーラーのスイッチを入れる癖が抜けません。。。
賃金通貨払いの原則
さて、今日のテーマは賃金通貨払いの原則です。
その名のとおり、賃金は通貨で払わなければなりません。
通貨とは、その国で通用する貨幣のことで、日本ではお札とコインを指します。
「なんだよ!そんなのあたりまえじゃないか!」
と、お怒りの読者の皆さん、おっしゃる通りです。
では、通貨以外の給与とは何を指すのでしょうか?
自分の給与を確認してみると、通貨以外でもらってるものってありませんか?
通貨以外で賃金を払って良い場合
実物給与(通貨以外で支払われる給与)は賃金通貨払いの原則により、違法となる場合があります。
法令の趣旨としては、労働の対価として支払われる賃金が通貨以外のものだと、その時の物価変動によって価値が変わってしまったり、査定の方法によっては価値が不明瞭となってしまうことがあるため、それによる不利益を未然に防止するという目的があります。
では、どのようなときに適法になるのでしょうか?
それは、労働協約がある場合です。
「ロウドウキョウヤク?何それ、また難しい単語が出てきたよ。。。めまいがしてきた。。。」
難しくありません!
労働協約とは簡単に言えば、労働組合と事業主との間で結ばれる約束のことです。
つまり、法律上は実物給与はすべてダメ。しかし、労働組合と取り決めをしたものに限っては、実物給与として支給することが可能なのです。
ということはつまり労働組合がない会社では実物給与をしてはいけないんです。(ここが一番大事なポイントです)
ここで身近な事例をあげましょう。
「交通費の代わりに通勤定期を実物給与として渡してるよ」
「売れ残りの商品を給料の代わりに渡してるよ」
「業務上携帯電話を使うから、通信料を賃金の一部としてますよ」
「御社には労働組合があるんですか?」
「いやいや、ウチは家族経営の小さな会社だからソンナものはないよhahaha...」
と、これは違法なわけです。
身近な事例を見てみると、違法とは知らずに渡され、受け取ってしまう方がたくさんいるのではないでしょうか。
当然のことながら、本人の同意があったとしても適法となることはありません。
ちなみに、通貨払いの原則に違反した使用者には、30万円以下の罰金刑が科されます。悪気がないのに気づいたら違法状態であるというのが一番怖いです。
やはり、人を雇うということはすごーく大変な事なんですね。
~本稿のまとめ~
・賃金は価値が明瞭な通貨で払わなければならない
・労働協約がある場合に限り、実物給与が許される
・違反した場合は30万円以下の罰金刑がある