仕事のミスで「罰金払え!」は有効なのか?
こんばんは、当ブログをはじめて数日ですが、読者様の数が少しずつ増えて大変ありがたく思っています。
今後、「このブログがきっかけで、労働環境が改善したよ!」というお声を聞けたらどんなにうれしいことでしょうか。
これからも労働法令の周知に尽力してまいりますので、よろしくお願いします。
さて、本日のテーマは罰金です。
人間だれしもミスをします。ロボットじゃありませんから。
使用者側も労働者にミスをされると腹が立つのもわかります。うんうん。
では、労働者のミスに対しては、法律上どのような取り扱いとなるのでしょうか。関係法令を見て行きましょう。
基本的には罰金は許されない
その業務に従事することによって、通常考えうる範囲の事故であれば、使用者が労働者から罰金を取ることは許されません。
その根拠としては、使用者は労働者がもたらす利益(この場合は労働力)によって潤うわけです。その反面、労働者がもたらす損害も、ある程度は受け入れなければならない。という考え方から成り立っています。
まあ、労働者が故意や悪ふざけによって損害を与えた場合は別ですが。。。
ここ数年、ツイッターで話題となるいわゆる「バカッター」
これは別です。これは別です。(大切な事なので二回言いました)
労働者が故意に冷蔵庫に入り、中の食べ物をダメにした。ということであれば、たとえ業務上であっても損害賠償請求される恐れがありますので、気を付けましょう。(最近はバカッター少なくなってきたかな?)
賠償予定の禁止
労働基準法には「賠償予定の禁止」というものがあります。
これは、あらかじめ労働契約に損害賠償額を規定する契約を結んではならないというものです。
つまり、「皿一枚割ったら罰金千円!」「遅刻一回罰金三千円!」という契約はダメということです。
ただし、労働者が故意に発生させた事故や、労働者に重大な過失が認められる場合は、その損害価額についてのみ損害賠償請求することは禁止されていません。
賃金全額払いの原則
賃金支払い5原則の一つ(追い追い紹介します。。。)に賃金全額払いの原則というものがあります。
内容は「労働者が得た賃金は全額で払わなければならない」というもの。何の変哲もない至極当然なことですね。
しかし、例外的に「社会保険料」と「税金」と「予め労使協定で定められたもの」については賃金から引いても良いことになっています。
「予め労使協定で定められたもの」とは会社それぞれですが、会社の組合費、社宅の家賃、社員旅行の積立金、などこれに当たります。
これ以外のものを給料から差っ引くことは許されません。
上記のような理由により、労働者の賃金はある程度保証されていることが分かりますね。これを知っていれば安心です。
気を付けたいこと
法律に疎い学生や責任感の強い人がミスをして損害を与えたとき、弁償うんぬんという話になります。
使用者側も、労働者側が弁償を受け入れているか否かを問わず、労働者の故意でなく、重大な過失も認められない程度の内容であれば、弁償をさせないよう努めなければなりませんね。
~本稿のまとめ~
・通常考えうる範囲の事故であれば、労働者が賠償する必要はない。
・労働者が故意に行った事故や重大な過失がある事故は、その損害価額についてのみ賠償請求されることがある。
・労働契約では、予め賠償金を定めることは許されない。
・賃金は法律で定められたもの以外を引いてはいけない。